結露といえば、冬に窓ガラスがベトベトに濡れてしまうのを想像する方が多いのではないでしょうか。
でも結露は冬だけの現象ではなく、じつは夏でも起こることがあるのです。
結露は、湿度の高い環境で気温差が生まれれば季節を問わず発生するからです。
この記事では、夏に注意したい「内部結露」や結露の対策方法についてご紹介します。
「内部結露って何?」という方も、参考にしてみてくださいね。
\入居前の空室・入居中の在室も!家中丸ごとキレイ/
「表面結露」と「内部結露」の違い
結露は、「表面結露」「内部結露」の2種類に分かれています。
まずは、それぞれの違いをお伝えしていきます。
表面結露
表面結露は、目視で確認できる部分で結露している状態のことです。
たとえば、暖房を使う時期に発生しやすくなる窓やサッシの結露です。
夏に冷たい水をガラスのコップに注ぐと表面に付く水滴も分かりやすい例ですね。
このように表面結露は、目に見える範囲で起こるので気づきやすいです。
内部結露
いっぽう内部結露は、表面結露とは反対に「目の届かない、届きにくい場所」で発生する結露です。
具体的どのような場所で発生するかといいますと
- 住宅の内壁
- 建材
- 天井裏
- 床下
など。普段はあまり点検しない場所や外壁と内壁の間で、結露が発生しているかもしれないのです。
とくに、気密性の高い住宅で起こりやすいんですよ。
夏は内部結露が起こりやすい
2種類の結露についてお伝えしましたが、夏は「内部結露」が発生しやすい環境となります。
その理由は、エアコンの冷房が関係しているんですよ。
そもそもなぜ、家のなかで結露が発生するのかといいますと、条件は2つあるんです。
2つの結露が発生する条件
- 湿度の高さ
- 室温と外の気温差
一般的に湿度が70%以上の環境は、外気との気温差が5度で、80%の湿度だとわずか3度で結露するとされています。
湿度が高い時期といえば、梅雨ですよね。
近年は、梅雨も気温がぐんぐん上がる日が多くなっています。蒸し暑さを回避するため、冷房を使用しているご家庭も多いことでしょう。
しかし、室温が下がれば下がるほど、外との気温に差が生まれて結露が発生します。
先ほどもお伝えしましたが、コップの中(内側)に水を注ぐと外側のガラスに水滴が発生しますよね。
住宅でも部屋がコップの水と同じ状態となり、内壁の外側に結露が発生することになるんです。
そのため、夏の結露は「エアコンを低温設定で使用する」のがおもな原因となります。
さらに梅雨の季節には、湿度の高さが結露の発生を手助けてしてしまっているんですね。
内部結露の放置は危険
続いては、内部結露が起きることで、どんな被害が想定されるのかご紹介していきます。
放置することで発生するリスクを知って、しっかり対策していきましょう。
住宅のカビ、腐食
結露を放置するとカビが発生します。
カビは高温多湿の環境を好み、水分やホコリなどのハウスダストで繁殖します。
結露の水気とホコリによって、カビが繁殖しやすい環境ができあがってしまうのです。
さらに、水分を吸収した木材が傷んで腐食してしまうことも。
また、壁のクロスがめくれたりシミができたりといった症状も出てきます。
内部結露の放置は、住宅の寿命を縮めることにもつながってしまうんですよ。
カビがアレルゲンになる
カビは胞子を飛ばして繁殖していきます。このカビ菌は、人体に悪影響を及ぼしてアレルギー症状を発症させるおそれがあるのです。
カビが壁やクロスなど広範囲に広がると、簡単に除去するのは難しいでしょう。
カビの繁殖は、建物の寿命だけではなく健康被害もおびやかしてしまうのです。
そのため、結露しない環境を作りつつカビの発生を抑えましょう。
夏に結露しやすい場所は4か所
じつは、夏の結露は先ほどご紹介した場所以外でも発生することがあります。
続いては夏に結露が発生しやすい場所についてお伝えしていきます。
その1.エアコン
エアコンからポタポタと水が垂れてきたら、結露が起こっているのかもしれません。
エアコンは室内機から冷風が送り出されることで、ルーバー(吹き出し口)周辺の温度が下がります。
室内機に温度差ができて、結露が発生するんです。
さらに、ルーバー自体にホコリなど汚れが溜まっていると湿気を帯びやすくなって、さらに結露につながってしまうことがあります。
その2.トイレ
夏に便器の表面が濡れていたら、水漏れよりもまずは結露を疑いましょう。
トイレの便器には、一定量の水が常に溜まった状態になっています。
中の水によって便器自体が冷やされて、夏の室温と温度差ができて結露が発生しやすい環境ができているのです。
ちなみに便器だけではなく、トイレタンクや止水栓周辺の金属部分も水が流れるので結露しやすいんですよ。
とくに結露しやすい陶器製の便器やトイレタンクをお使いの場合は、夏場のトイレは換気や除湿することをおすすめします。
その3.クローゼット・押し入れ
意外と結露に気づきにくいのが、クローゼットや押し入れなどの収納スペース。
ここでは内部結露が発生しやすいです。
クローゼットや押し入れには、衣類や布団など布製品を収納していることが多いですよね。
これらの布製品が湿気を吸収してしまい、じめじめとした環境を生み出します。
さらに換気が行き届きにくい場所なので、空気が循環しづらくなってしまい湿気をどんどん溜め込みます。
そのため、いつの間にか結露によってカビが生えてしまうおそれがあるんです。
その4.家具の裏(本棚・タンスなど)
本棚、タンスなどの家具の裏側や隣接する壁にも、結露が発生してしまうことがあります。
その理由は空気の流れが悪くなっているからなんです。
壁と家具の隙間が狭いとホコリが除去しづらくなり、湿気の溜まり場となります。
さらに本やタンスに入った衣類も湿気を吸収しやすい素材なので、ジメジメしたニオイやカビの原因になるんですね。
夏の結露対策3つ
最後に、夏の結露を抑えるための対策方法についてご紹介していきます。
とくに内部結露は、いつの間にか発生していることが多いです。
「気づいたときにはカビだらけ……」ということにならないようにしっかり、対策していきましょう。
【1】換気する
基本的なことになりますが、結露対策には換気して湿気をため込まないことがもっとも効果的です。
湿度が下がれば、部屋の内外で気温差ができても結露しにくくなるからです。
とくに内部結露対策には、部屋やお風呂などに設置されていることが多い、24時間換気システムを活用するのがおすすめです。
24時間換気は給気口から空気が入り込み、排気口へ流れていきます。
常に部屋の空気が流れている状態を保てるので、湿気を抑えることができるんですよ。
クローゼットや押し入れも閉め切らずに、こまめに開けて換気しておきましょう。
トイレの湿気が気になる方も同様に、換気扇を回しておくことをおすすめします。
【2】エアコンの温度調整・除湿機能を活用する
エアコン本体の結露・内部結露を抑えるには、設定温度を下げすぎないことが大切です。
冷房を使用するときの設定気温は、28度前後を目安にしましょう。
少し暑いと感じたら、エアコンの除湿機能も活用するのがコツ。
湿気が多いと、体感気温も高く感じてしまうからです。
冷房による部屋の冷やしすぎは結露の元。
とはいえ真夏の暑さで熱中症になるという心配も。無理のない範囲で、設定気温を決めましょう。
またエアコン稼働中にサーキュレーターを組み合わせると、冷気が部屋全体に流れやすくなりますよ。
広い部屋で冷房の効果を実感しづらいと感じたら、試してみてはいかがでしょうか。
サーキュレーターはエアコンの真下に置いて、同じ向きで使用すると冷たい風が流れやすくなります。
エアコンの効き目が悪く感じたらクリーニングへ
「エアコンの設定温度を上げたら、ぜんぜん涼しく感じない……」
と思ったら、エアコンにホコリなどのゴミが溜まっているのかもしれません。
エアコンは空気を循環させる際に、ホコリや花粉などのハウスダストも一緒に吸い込みます。
定期的にフィルターの掃除をしていればある程度は改善できますが、フィルターより奥の精密機器部分には少しずつホコリが溜まります。
さらに、先ほどのルーバー(吹き出し口)やドレンパンにも汚れが蓄積すると性能低下の原因となります。
個人で掃除するのは難しそうだと思ったら、エアコンクリーニングに依頼するのもひとつの手ですよ。
クリーニング業者なら、エアコンを適切な方法で分解してしっかり洗浄してもらえます。
室内機のホコリを取り除くことで、結露改善にもつながりますね。
【3】家具の通気性を上げる
家具周辺の結露にお悩みなら、下記の対策をしてみましょう。
対策方法
- 家具と壁の間に隙間を5センチ以上作る
- 家具にモノを詰め込みすぎない
- 結露しやすい北側の部屋には極力家具を置かない
家具の結露を防ぐには隙間を空けた状態で換気をしつつ、空気の通り道を作ることが重要です。
まとめ
夏は冷房によって部屋が冷やされることで壁の外側や天井裏など目の見えにくい場所が結露しやすい環境になります。
夏の結露対策方法は
- 24時間換気を利用する
- エアコンの設定気温を下げすぎない
の2点を意識するのがポイント。
とくに梅雨の時期は、湿度が上がるため結露が発生しやすいです。
冬だけではなく、夏の結露対策も忘れずにおこなっていきましょう。