約2年、手入れしていなかった松を職人さんに剪定してもらいました。
約6時間かかった剪定の様子とともに、
職人さんから教わった「伸びすぎた松を小さく整える剪定方法」をお伝えします。
動画で剪定の方法を紹介しているので、自分で挑戦してみたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ご協力いただいた剪定のプロ
\鵜飼さん(株式会社マルク)/

庭木の剪定伐採や草刈り、お家のリフォームなど、建築にまつわるお仕事を請け負われています。
代表の太田久徳さんは、剪定歴約30年というキャリアの持ち主。「スピーディーかつ丁寧」をモットーに、個人宅はもちろん企業の剪定なども手掛けていらっしゃいます。
HPはコチラ→株式会社マルク
高さ6m以上!伸びすぎた松の剪定ビフォーアフター

今回剪定したのは、高さ6m以上にもなる立派な松。
約2年は剪定をしていないそうで、仕事しがいのある見た目をしていますね。
そんなボサボサの松ですが、職人さんの手にかかると…。

伸びすぎた松が、ここまで小さく整いました!
作業は職人さんお一人で担当されており、かかった時間は約6時間です。
松の剪定はとくに難しいといわれていますが、伸びすぎた松になるとより難易度も上がります。
それを半日足らずで仕上げられるのは、経験豊富な職人さんならではですね。
今回は職人さんの技を伝授してもらい、自分でも松の剪定ができるようになるのが目的。くわしく、教えてもらいましょう!
剪定前に知っておきたい!松の基本情報

剪定をする前に、松の基本情報を知っておきましょう。
今回剪定する松の種類は、アカマツ(学名: Pinus densiflora)です。
特徴は赤褐色(もしくは灰褐色)の幹とやわらかい葉。葉のやわらかさを女性にたとえ、メマツ(雌松・女松)とも呼ばれるそうです。
花言葉は不老長寿。

伸びすぎた松は秋冬に剪定するべし
松の剪定は、初夏(5~7月頃)と秋冬(11~3月頃)の年2回おこなうのが理想といわれています。
初夏は、新芽を摘む「ミドリ摘み」。
秋冬は、枝を切る「枝透かし」と古い葉を取る「もみあげ」、枝ぶりに応じて「切り戻し」が追加されます。夏に「ミドリ摘み」ができなかった場合は、このタイミングでおこないましょう。
秋冬の剪定は樹形を小さくできるため、伸びすぎた松にお困りの方は、この時期がおすすめです。
剪定豆知識
近年では「ミドリ摘み」をおこなうことは少なく、秋冬にまとめて剪定することが多くなっているそうです。
松を剪定する時の注意点
松はとても繊細な植物です。剪定に失敗すると枯れてしまうこともあります。
細心の注意をはらって剪定しましょう。
- 1)必ず枝先に芽(葉)を残す
-
松は枝先に芽(葉)がないと、養分を運ぶ力が弱まり枯れてしまいます
- 2)枝を切るのは秋冬
-
夏に枝を切ると木が弱り、枯れてしまいます
- 3)松が弱っている時に剪定しない
-
松が害虫にやられている時や病気にかかっている時に剪定すると、枯れてしまいます
- 4)傷をつけない
-
病気に感染しやすくなります
松の剪定に必要な道具は4つ
まずは松の剪定に必要な道具を教えていただきました。
- 植木ばさみ
- 手袋
- のこぎり
- 脚立
剪定道具をくわしく解説していきます。
植木ばさみ

松に使用する植木ばさみは、刃が細いものを選びましょう。
松は芽を確認しながら剪定するため、刃は細いほうが切りやすいです。
剪定ばさみではなく植木ばさみを選ぶ理由は、扱いやすさにあります。持ち手広くバネがないため、手が疲れにくく作業効率もよいです。
松の剪定では、長袖・長ズボンを着用して体を守るようにしましょう。
頭はヘルメットかキャップ、目には作業用ゴーグルをつけておくと安心です。
葉でケガをしたり、松ヤニで汚れたりしないためにも、参考にしてくださいね。
伸びすぎた松の剪定の順番│上から下、奥から手前が基本
伸びすぎた松を剪定する順番は、
- 上から下…木の上の枝から剪定する
- 奥から手前…木の中心部から先端に向かって剪定する
が基本です。

剪定に順番がある理由は2つ。

ひとつは、剪定した枝に傷や松ヤニをつけないためです。
下の枝を剪定してから上の枝を切りはじめると、下の枝に落とした枝葉があたり、傷や松ヤニがつきます。
傷は病気に感染しやすくなりますし、松ヤニはベタベタして汚れがつきやすくなります。
また剪定は奥から手前に進めましょう。剪定した芽に手や体があたるのを防げます。
ふたつ目は、掃除の手間をはぶくためです。
剪定した枝葉を、上から下に落としながら作業すれば、あとの掃除が楽になります。
「上から下、奥から手前」で、松の剪定を効率よくおこないましょう。
【動画で解説】プロに聞く!松の基本の剪定方法

剪定のイメージがしやすいよう、松の剪定前後を見てみましょう。
上が剪定後、下が剪定前です。
剪定後の松は、枝が短くなり、葉は少なくなっていますね。この状態を目指して剪定していきます。
松の剪定は、いらない芽や枯れた葉を取るのが基本です。枝や芽が伸びている場合は、短く切り揃えます。
では、基本の剪定と伸びすぎた松の剪定を動画で確認してみましょう。
基本の「切り戻し」「もみあげ」「ミドリ摘み」を動画で紹介
伸びすぎた松の「切り戻し」「もみあげ」「ミドリ摘み」を動画で紹介
【写真で解説】松の基本の剪定方法│ミドリ摘み・もみあげ・切り戻し
職人さんから教わった松の剪定方法はコチラです。
松の剪定方法はおもに3種類。
- ミドリ摘み…松の芽を摘む作業
- もみあげ…葉をむしり取る作業
- 切り戻し…伸びた枝や芽を切る作業
松の剪定は、ひと枝ごとに①~③をおこないます。松の剪定に時間がかかるのは、このためです。
次は松の剪定のポイントを確認しましょう。
- できるだけ木の幹側の芽を残す…松の大きさを保つため
- 古い葉や枯れ葉は取る…仕上がりを美しくするため
- 枝先は二又にする…見栄えと枯れさせないため
ここからは、松の剪定方法を写真で解説していきます。
基本の剪定①│ミドリ摘み
ミドリ摘みは、今年伸びた芽を取る剪定です。
松の生長を揃え、枝分かれさせるための作業になります。
時期は、初夏がよいとされていますが、近年では秋冬の剪定時にやる人が多いそうです。ただ秋冬になると、芽が固くなり葉も出てくるため作業は大変になります。
初夏のミドリ摘み
初夏のミドリ摘みは、新芽がやわらかいうちにおこないます。

- 枝先の一番長い新芽を手で取ります
- 残した新芽の長さを揃えます
芽がやわらかいうちは手で、固くなってきたら植木ばさみで切りましょう。
秋冬のミドリ摘み
秋冬のミドリ摘みも基本は、今年伸びた芽を取る剪定です。
ただ初夏に芽だった部分は、秋冬になると枝となり葉が出ているため、手間がかかります。





剪定豆知識
「ミドリ摘み」の由来は、松の新芽をミドリと呼ぶことからきています。
職人さんによっては「芽摘み」と呼ぶこともあるんですよ。
基本の剪定②│もみあげ
もみあげとは、手で葉を取る作業のことです。松特有の剪定で、2通りの方法があります。
ブラシのような枝の葉はしごき取り、芽の葉は先端以外をむしり取ります。
もみあげは、松の健康を守るためにも欠かせません。いらない葉を取ることで、日光が下の枝葉にあたり、枯れにくくなります。また、マツケムシなど害虫の発生を防ぐ効果もあるんですよ。
もみあげの方法①│枝の葉
枝の葉は、手でしごくようにして取ります。枯れ葉を取るので、この作業だけでも松がキレイになりますよ。

剪定する枝を両手でつかみます。

手で枝をしごいて、葉を取ります。
先端の芽から出ている葉は取らないように注意しましょう。

枝に葉がなくなり、剪定しやすくなりました。
動画で確認する→枝の葉を取る方法
もみあげの方法②│芽の葉
芽の葉は、指でむしり取ります。枝先の葉を整える時に使います。

枝先の葉を残し、指でつまんでむしり取ります。
葉が手に刺さらないように、葉の下からつまみましょう。

芽の葉は、すべて取らず、扇形になるように残します。
下から見上げた時に、お花が咲いたように見えればOKです。

動画で確認する→松の葉を整える方法
基本の剪定③│切り戻し
伸びすぎた松は切り戻しで枝を短くし、小さく整えます。
ポイントは、できるだけ内側(木の幹側)の脇芽と新芽を残しながら枝を切ることです。
この技法は、大きくなりすぎた松の剪定によく用いられます。
注意点は、必ず根本から切ることです。中途半端に残すと、枯れる原因となります。
ここでは「根本に芽がある場合」と「根本に芽がない場合」、2パターンの切り戻しをご紹介します。
切り戻しの方法①│根本に芽がある場合

まずは枝に生えている古い葉を取り芽が見えるようにします。
古い葉の取り方は、手で枝をしごくように動かしながら、葉が生えている方向へ引っ張るだけです。

緑色の新芽が見えるようになったら準備完了。
伸びすぎた枝の根本に芽があることを確認し、根本から切ります。

古い芽の根本に新しい芽があります。

古い芽には、昨年伸びた芽の先に今年伸びた新芽が出ています。

古い芽を根本から切り、完了です。
芽を切る時は、必ず根本から切りましょう。途中で切ると、枝が枯れてしまいます。

動画で確認する→根本に芽がある場合の切り戻し方法
切り戻し②│根本に芽がない場合
切り戻す前に、芽から生えている古い葉を取ります。


伸びた枝の根本に芽がない場合は、伸びた枝の芽を残します。
松の芽は、枝先から3~4本でているので、一番勢いのいい芽を切りましょう。
二股に分かれるよう、2、3本の脇芽を残すと美しいです。

芽を切ったあとは、残した脇芽の葉を扇形にするため、少しむしり取ります。
そして伸びている枝の葉もむしり取って完成です。

伸びすぎた松は、内側(木の幹側)に芽が少ないケースがあります。
その時は、この方法で芽を残しましょう。
動画で確認する→根本に芽がない場合の切り戻し方法
基本の剪定④│樹形から大きくはみ出ている枝を切り戻す
枝が元の形から大きくはみ出ている時は、思い切って切り落とします。
切る場所は、枝分かれしており、芽がでているのがベストです。


枝を切り落とす場所は、切り落とす枝の根本をたどり、若い芽がある部分。または枝分かれしている部分です。
枝が太い場合は、のこぎりで切り落とします。


残った枝をもみあげと切り戻しで整えていきます。

伸びすぎた松の枝がなくなり、樹形が整いましたね。
アップで見るとこんな感じです。

基本の剪定⑤│枝透かし(間引き)
枝透かしとは、枝を根本から切り、間引くことです。
樹形を整える役割もありますが、松の健康のためにもなります。
松は、芽がないと枯れてしまうため、芽のない枝は切る必要があります。
不要な枝をなくすことで、日光のあたりや風通しがよくなり、病気や害虫を防いでくれるのです。
間引く枝の選び方は下記になります。
健康のために切る枝
- 枯れた枝
- 重なっている枝
- 害虫・病気になっている枝
- 芽(葉)がついていない枝
樹形のために切る枝
- 伸びすぎた枝
- 飛び出た枝
枝透かしは、切り戻しのように、根本に芽を残すことを前提にしなくてもいいです。
とくに枯れた枝や病害虫にやられている枝などは、ばっさり切りましょう。
松を剪定しないとどうなる?
松は剪定しないと、樹形が崩れ、元の大きさに戻せなくなります。
松の新芽は、上へ外へと伸びます。伸びた芽は枝となり、元の樹形が崩れてしまうのです。
また枝葉が密集したり、枯れ葉が積もったりして、日あたりが悪くなるのもよくありません。脇芽や脇枝が枯れてしまい、新芽が育ちません。新芽がないと切り戻しもできず、樹形を元に戻せなくなります。とくに下の枝葉は、日があたりにくいため、枯れやすいので注意が必要です。
松の剪定は、年1回はおこなうようにしましょう。
伸びすぎた松の剪定はプロに任せる
プロ直伝の「伸びすぎた松の剪定方法」を参考に、松のお手入れに挑戦するのもおすすめですが、松の剪定はプロに任せたほうがいい場合があります。
たとえばこんなケースです。
- 自分の背よりも高い松→高所での作業は危険をともないます
- 数年放置して、枝や葉が絡み合っている松→知識なく剪定すると枯れる可能性があります
- 害虫・病気にかかっている松→弱っている松をさらに弱らせてしまうかもしれません
- 元の樹形を保ちたい松→闇雲に剪定すると樹形が崩れます
など
松はとてもデリケートな植物のため、「こんなことで!?」という原因で弱ったり枯れたりすることがあります。
それに松は縁起物とされている木なので、できれば美しい姿でいてほしいものです。
プロに任せれば、松の状態に合わせた剪定をおこなうことができます。
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