そよそよと涼しげでオシャレ!
丈夫でお手入れも簡単!
そんな理由で、シマトネリコはシンボルツリーとして人気があります。じっさい外構業者や庭師さんからの提案で、シマトネリコを庭に植えている方は多いようです。
しかしいざ自分で剪定するとなると、素人にはわからないことだらけ。どこをどうカットすればよいものか迷うこともあるでしょう。
ここでは、シマトネリコの剪定方法をわかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、シマトネリコの
- 剪定のタイミング
- 剪定に必要な道具
- 剪定で切り落とすべき枝
- 剪定の手順
がよくわかります。シマトネリコの剪定は比較的簡単で、素人でもむずかしくありません。こちらを参考にして、シマトネリコを格好よく剪定してみてくださいね。
なお大きくなりすぎた木の剪定は、高所での作業になるため危険をともないます。また切り落とした枝が大きすぎて処分に困ることも多いです。
そのため3mを超える大木になってしまった場合は、いちどプロの庭師さんに頼んで剪定をしてもらうのがおススメです。木の高さを低くする剪定をしてもらえば、その後は自力で剪定しながら美しい樹形を保つことができますよ。
シマトネリコの剪定は春と秋の年2回

シマトネリコは1年に50cm~60cmほど伸び、あっという間に大きくなります。放置すると手に負えなくなるので、毎年忘れず剪定しておきましょう。
シマトネリコの剪定は春(3~4月)と秋(9~10月上旬)の年2回が基本となります。季節ごとに剪定方法がちがうので要注意です。
春の剪定(強剪定)
3~4月には、大胆に刈り込む強剪定をおこないましょう。太い枝を切り落としたり、高さを調整したりするのも、3~4月がおススメです。
このあと4~5月には、古い葉が落ちます。古い葉が落ちる前に枝ごと切り落としておけば、落ち葉が減り、木の下部をスッキリ保つことができます。
春から夏にかけて、シマトネリコはどんどん成長していくのでバッサリカットしてしまっても大丈夫です。
秋の剪定(弱剪定)
9~10月には、軽く整える程度の弱剪定をおこないましょう。
秋に強く刈り込むと、剪定後に伸びた芽が霜で傷むおそれがあります。細くて不揃いな枝をカットする程度にしてください。
夏と冬の剪定はやめておこう
6~7月は花芽*がつく時期ですので、夏の剪定は避けましょう。花芽がつく時期に剪定をしてしまうと、花が咲かなくなります。
ただし花や実がつくと掃除が大変だという場合は、あえて夏に剪定をするという手もあります。 新しく伸びてきた枝を剪定すると、花芽の量が減ります。
シマトネリコは寒さが苦手な木です。冬に剪定をすると木が弱りやすいので、12~2月の剪定は控えましょう。
*花芽(はなめ):成長すると花になる芽のこと
シマトネリコの剪定に必要な道具
シマトネリコの剪定を自力でおこなうには、次のような道具が必要です。長年使うことになりますので、適切な道具を準備しておきましょう。
剪定はさみ
剪定はさみは、生け花用やキッチンバサミで代用することなく、剪定専用のものがおススメです。剪定をはじめておこなう方や、力仕事に自信のない方は、少ない力でも庭木をカットできるタイプを選ぶと作業がラクにできます。
のこぎり
太い枝をカットするときにはのこぎりが必要です。初心者なら刃が厚めのものが使いやすいでしょう。刃の薄いものは細かい作業に使いやすいものの、初心者が使うとグニャリとまがって作業しづらいからです。
またのこぎりの刃の粗さは荒目・中目・細目の3つがあり、荒目は太い木に、細目は細い木に向いています。太い木も細い木も切る場合には中目を選んでおくのがよいでしょう。
こちらは「速く・楽に・疲れない」をコンセプトに作られたのこぎり。横・斜・縦切りまで、さまざな角度から切ることができ、切れ味もよいと評判です。
そのほか電動のこぎりもおススメです。太い枝のカットも短時間でラクにおこなえます。充電式なら場所を選ばず使えて便利です。
高枝切りバサミ
手のとどかない場所にある枝の剪定には高枝切りバサミが必要です。高枝切りバサミは持ち上げて使う道具ですので、なるべく軽量のものが作業はラクにできます。
長さは3mくらいまでにしておいたほうが使いやすいです。それ以上長いものは扱いづらくなります。高枝切りバサミを使ってもとどかない場所は、脚立などを併用して作業しましょう。
癒合材(カットした後に雑菌や雨水が入り込まないよう)
癒合材は、剪定には必須のアイテムです。癒合材とは剪定してむき出しになった切り口を保護するものであり、傷口にはる絆創膏のような役割があります。
癒合材はペースト状になっているので、切り口にまんべんなく塗りつけておき、1か月ほどたったら剥がします。
脚立
とどかない場所の剪定には脚立を使います。ただし剪定する場所の足場は凸凹になっていることが多いので、設置場所の安全を確認してください。
ビニールシート
庭木の剪定をするときには、木の下にビニールシートを敷いておきましょう。剪定場所の真下において、枝や葉などのゴミを受け取れば、剪定ゴミの処理は簡単です。
新しく購入するのなら、専用のマットもおススメです。
シマトネリコの剪定方法と手順

シマトネリコの剪定では、基本的に「透かし剪定」をおこないます。透かし剪定とは葉っぱ1枚1枚にしっかり日光が当たるようにする剪定方法です。
シマトネリコは生命力が強く、放っておくと枝や葉がどんどん伸びます。木が生い茂るようになると日光が当たらない枝葉が増え、影になった部分の枝ぶりが貧相になってしまうのです。
そのためシマトネリコの剪定では、不要な枝を切り落として葉っぱの重なりを減らしていきます。
【図解】シマトネリコの剪定で切るべき不要な枝

透かし剪定では、不要な枝を切り落としていきます。切り落とすべきなのは次のような枝です。見分け方を確認して、剪定してみましょう。
不要な枝 | 見分け方 |
---|---|
徒長枝(とちょうし) | 勢いよく伸びている枝(樹形を乱す、混み合いの原因であれば切る) |
ひこばえ | 根元から生えた細い枝 (ヤゴ・根吹きともいう) |
幹ぶき枝 | 幹の根本あたりから生えた細い枝 |
からみ枝 | 他の枝に巻き付くように伸びる枝 |
交差枝 | 他の枝と接触する枝 |
逆さ枝 | 地面に向かって垂れ下がるように伸びる枝 |
並行枝 | 近い位置で同じ方向に伸びている枝(どちらか一方を切る) |
内向枝(返り枝) | 幹の方向に向かって内側に伸びる枝 |
枯れ枝 | 乾燥して細く茶色になった枝(少しでも黄緑色の部分があれば生きている) |
車枝 | 1か所から4~5本にわかれて伸びている枝 |
ふところ枝 | 枝元から出る弱々しい枝 |
立枝 | 横に広がらず真上に伸びる枝 |
かんぬき枝 | 幹をはさんだ同じ高さの場所に左右対称に伸びる枝 |
シマトネリコの剪定手順
不要な枝の種類がわかったところで、さっそく剪定をしていきましょう。手順は次のとおりです。
◯手順
- 木の全体を見て、カット後の樹形をイメージする
- 不要な枝をカットする
- 全体の樹形を整える
- ゴミの後始末をする
- 枝の切り口に癒合材を塗る
不要な枝は中途半端に残さず、つけ根からバッサリカットしたほうが見栄えよく仕上がります。成長の見込みがない古い枝はカットして、新しい枝を残すようにしましょう。
雨の日に剪定しても大丈夫?
雨の日の剪定作業には次のようなリスクがあります。
- 雨で滑りやすくなり、危険をともなう
- ゴミが濡れて重くなる
- 切り口から雨や雑菌が入り込み、木が弱ることがある
そのため、剪定作業は晴れまたは曇りの日におこなうのがおススメです。
シマトネリコの株立ちを美しく整えるコツ

シマトネリコは株立ちの美しさが人気の庭木ですので、下部をすっきり見栄えよく整えたいという方も多いことでしょう。株立ちを美しく整えるには、次のようなポイントに気をつけてみてください。
中心となる太い幹を決める
シマトネリコの木を上から見下ろしたとして、真ん中に太い幹が1本あり、その中心の幹が複数の細い幹で囲まれている状態が理想です。中心となる太い幹を1本決め、そのほかの外側にある太い幹は思い切ってカットしてください。
丈夫そうなひこばえを1本残す
地面から生えている若い枝はひこばえです。ひこばえは数本生えてきますが、丈夫そうなものを1本だけ残して、そのほかはカットします。1本残したひこばえは新しい幹となるよう育てていきましょう。
下部の枝をスッキリカットする
不要な幹や枝をカットしたら、株立ちがしっかり見えるように、木の下部をスッキリ剪定します。木の下1/2にある枝や葉をカットし、幹が目立つようにしてください。
残すべき幹や枝の見分けがつかない、幹の太さがバラバラで見栄えが悪く、どうしたらよいか判断がつかない…そんなときにはプロに剪定を任せてみましょう。これからどの幹を育てていくべきか、プロからアドバイスをもらうという手もあります。
大きくなりすぎたシマトネリコの剪定方法

木が大きくなるにつれて花がらの量が増え、掃除の手間も増えます。また周辺に花や葉が落ちれば、近所からのクレームも増えることでしょう。
そのため庭のシンボルツリーとしてシマトネリコを育てる場合、高さは2~3mが適切だとされます。このくらいの高さであれば、目隠しとしての役割も果たせますし、自力での剪定も可能です。
大きくなりすぎたシマトネリコは、大胆な剪定で小さくするしかありません。木の高さを抑えるおもな剪定方法は次の2つです。
- 株立ちを減らす
- 芯止めで高さを抑える
木のボリュームを抑えるには、株立ちを減らすのが効果的です。何本かある幹のうちの数本を切り倒してください。
また木の高さを抑える方法のひとつに「芯止め(しんどめ)」があります。芯止めとは、木の頂点の枝を、節のすぐ上で切ることです。
植物は頂点にある芽が勢いよく伸びていく性質がありますので、頂点の枝をカットしておけば、成長が抑えられます。
ただし大きくなりすぎた木の芯止めは高所作業で危険をともないます。自力での剪定がむずかしいと感じたら、安全のためにプロの庭師さんに依頼するのが賢明です。
シマトネリコは年に一度しっかり強剪定しよう

シマトネリコはもともと、放っておけば10m以上の高さにも成長してしまう樹木です。庭木として植えた場合は、大きさのコントロールが欠かせません。
年に一度、しっかり強剪定をして樹高(じゅこう)を抑えておきましょう。
いっぽうでシマトネリコは丈夫な樹木ですので、バッサリ剪定してしまっても簡単に枯れることはありません。大きく育ちすぎたときにはプロに頼んで樹高を低くしてもらい、ふだんは自分でこまめに剪定していきましょう。
また適切に剪定することで、美しい株立ちを保つこともできます。太くなってしまった幹は思い切ってカットし、株の更新をしてみてください。
春から初夏にかけての剪定は、繁忙期となります。剪定を業者に任せる場合は、早めに予約しておくのがおススメです。