今回、取材を受けていただいた川上産業さんは「プチプチ®」の可能性を、皆さんが思っている100倍以上追求されている企業さんです。
「プチプチ®文化研究所」から、プチプチ®のオリジナルグッズまで、そのバリエーションは留まることがありません。
どんなエピソードが飛び出すのか、さっそく総務部 主任 渡邉千咲さんにお話をお伺いしてみましょう!
取材協力:川上産業株式会社
世界初の「はぁとぷち®」は社員のアイデアから誕生!
「はぁとぷち®」は、当時入社2年目の女性社員の「ハートのプチプチ®があったら可愛いのでは」という提案から誕生したプチプチ®です。
かわいい!ありそうでなかった形ですよね。
実はこれ、かんたんそうに見えて技術的にはすごく難しいんです。ハートのかたちがうまく作れなかったり、角になっている部分から空気が抜けやすかったり。
試作を繰り返して、完成まで2、3年かかりました。
でも、その甲斐があり、世界初のハート型のプチプチ®として商品化することができたんです。
2,3年! 入社したての社員さんからでたアイデアを採用して、しかも時間をかけて具現化することは、なかなかできないことだと思います。
また、弊社は全国8カ所に工場があって、その土地の空気でプチプチ®を製造しています。
ご当地の空気を使った製品ということから生まれたのが、プチプチ®用ご当地シールです。
プチプチ®の巻きゆるみを防止するためのシールなんですが、絵柄が工場のある土地をそれぞれイメージしたデザインになっています。現在、直営インターネット通販店にて「プチザック」という名前で限定販売しているんですよ。
すごくステキですね。そういったアイデアは、誰が考えているんですか?
2代目の社長がユニークなものがとても好きで、アイデアをいろいろ出していたんです。
また、社内に「てーあん制度」というものがあって、専用の用紙に社員が思いついたことを書いて、その紙を専用ポストに入れると、直接社長のもとに届くんですよ。
「はぁとぷち®」もそれがきっかけでできました。社員の声から商品を作ってみようという社風なので、社長発信もあれば社員発信もある感じなんです。
なるほど!すごくいい職場環境ですね。
10,000粒に1粒!秘密のハートプチとは?
ハート型のプチプチ®といえば、前に10,000粒に1粒だけハート型のプチプチ®が隠れているという噂を聞いたことがあるんですが…。
それは、本当です!
噂は本当だったんですね!
でも、なぜ?
四つ葉のクローバーを見つけたら嬉しくなるように、プチプチ®にもその遊び心を取り入れてみました。
ハート型を入れ始めたのは2001年からで、後にこれを「ラッキープチ」と呼ぶようになりました。
ちなみに、最初に発見された方は…。
初めて見つけられたのは2006年。東京・日本橋にある家具屋さんです。
お礼にプチプチ®グッズを持っていきましたね笑。
5年の歳月をかけて発見されたんですね。
2011年頃からTwitterが普及し始めたと思いますが、その頃から「プチプチ®の中にハートがあった!」というつぶやきが出始めました。
2016年には、ダウンタウンの松本人志さんがラッキープチの画像に「愛を見つけました」というツイートをしてくださったんです。
そのツイートが拡散されて、更に多くの方に知っていただくきっかけになりました。
会社にとってもラッキープチなんですね。
そうなんですよ笑。
ラッキープチのことで取材をしていただけることもありますので。
ちなみに、発見できる確率はどのくらいでしょうか。
10,000粒に1粒と聞くと難しそうに感じますが、1メートル四方に1粒と聞くとそうでもない感じがしますよね。
たしかに! ロールで購入すれば1粒は発見できそうです!
捨てられない緩衝材!エアピロンギフト
なんか、可愛いのがでてきました!
「エアピロンギフト」も開発チームの女性社員の提案から生まれた商品なんです。
前職の技術を活かして「いろんな形のプチが作れるんじゃないか」というアイデアからスタートしました。
ここでも社員さんの声が活かされているんですね。
ハートから始まり、猫型や星形など、さまざまなかたちが作れるようになりました。
社員のアイデアを参考にしていますが、なかにはお客さまからのご要望で商品化したものも。それが、この馬型です。
緩衝材にしておくには、もったいないですね。
そうなんですよ。送ったときにちょっとでも喜んでいただけるように、という思いもありますね。
より気持ちを伝えたいときには、油性ペンでメッセージを添えてもいいですね。
世絵×プチプチ®!入れるだけで粋なギフトに
「浮世絵ぷちぷち®」は、デザインチームconeruさんとの共同開発で誕生しました。
もともとはconeruさんが2015年度の「Tokyo Midtown Award(東京ミッドタウンアワード)」のデザインコンペで、準グランプリを受賞された作品で、商品化の際にお声がけいただきました。
プチプチ®といえば、川上産業さん。みたいな感じだったんでしょうか。
coneruさんに後から聞いたのですが、「プチプチ®」で検索すると弊社のサイトがすぐに出てきたことと、2代目の社長の動画を見て、「この会社は、おもしろいことが好きそうだし、引き受けてくれそう」と思ったことがきっかけだったそうです。
きっかけになった動画が気になります!
社員の結婚式で、お祝いにロケットランチャーを披露する動画です。ちなみに、ロケットランチャーは、社内の開発チームに作ってもらいました。
想像以上の社長さんでした! 私もこんな方のもとで働いてみたいです!
デザイン性の評価も高く、2018年度の「グッドデザイン賞」、第3回「クールジャパンマッチングアワード 審査員特別賞」なども受賞することができました。
素晴らしいですね。あと商品のコンセプトもすごくいい。
【プチ知識】浮世絵は緩衝材として使われていた!?
江戸時代、大衆文化として庶民に愛された浮世絵は、おくりものを包んで守る、緩衝材として使われていました。そうして、輸出品とともに海を渡った浮世絵は、西洋の人々を、その美しさで、大いに驚かせたといわれています。さらに、浮世絵はゴッホをはじめ印象派の画家たちも魅了し、ジャポニズムを巻き起こしたのです。そんな浮世絵を、現代の緩衝材であるプチプチ®に描き、当時の驚きが蘇える、粋な包みができました。
引用元:coneru
そういえば、「浮世絵ぷちぷち®」は、外側にプチプチ®があるんですね。
プチプチ®はよくどっちが表なの?というお問い合わせをいただくのですが、表裏で緩衝性能は変わらないんです。作業性やお好みによって、どちら側で包んでいただいても大丈夫ですよ。
特に、プチプチ®を袋でご使用される場合は、両面平らの3層品がオススメです。
そうだったんですね!これは、知らない方が多いのではないでしょうか。プチプチ®豆知識!
思う存分、プチプチ®つぶし!プッチンスカット®
次は「プッチンスカット®」ですね。
つぶす専用のプチプチ®で普通のプチプチ®よりもつぶしたときの音がいいです。パチンという高い音がします。
これは6代目で、2020年の6月にリニューアルされたばかりの商品です。
その前は、正方形にカットした「プッチンスカット®」を10枚、つぶれないプチプチ®のケース入れて販売していたんです。
今回のリニューアルを機に、デザイン、容量ともに大きく変更しました。
同じ商品とは思えないぐらい変わってますね。つぶしてみてもいいですか?
はい、もちろんです!
\「プッチンスカット®」の音を聞いてみる/
お〜!すごく気持ちの良い音がします!ずっとこうしていたい…。
普通のプチプチ®の粒は台形をしていますが、プッチンスカット®は円柱状になっています。その分空気をたくさん蓄えられますので、いい音が出せるという仕組みです。
それに梱包材のプチプチ®と比べると、手ざわりがいいですね。
そうなんですよ。原料がちょっと違うんです。“もちもち感”がでるように工夫しているんですよ。
なるほど!そんな工夫がされているんですね。
弊社は、2001年にプチプチ®のインターネットショップを開設したのをきっかけに、一般のお客様向けの商品を開発するようになりました。
その際に、つぶす専用のプチプチ®があるとおもしろいんじゃないか、ということで「プッチンスカット®」の一代目が発売されたんです。
それまでは業者様向けの商品だけの取り扱いでした。
ネットの普及とともに、市場を広げられたんですね。
ちなみに、トイレットペーパー型になった理由は?
もっとつぶして楽しんでほしいという思いと、購入した方がたくさんの人に配れるようにと、トイレットペーパー型にしました。
プチプチ®をよく見ると、カットしやすいようにミシン目を入れてあり、配りやすくなっています。
配るのが前提なんですね笑。
もちろん、お一人で楽しんでいただくのもありです!笑
笑。
思い出したんですけど、私が川上産業の会社説明会に参加したとき「プッチンスカット®」を配られたんです。それを、学校で友達に配りましたね。
会社は私のこの行動を想定していたんですよね。まんまと引っかかってしまいました笑。
たしかに、人に配りたくなりますもんね!笑。気持ち、すごくわかります。パッケージも凝ってますね。
そうなんですよ。8月8日の「プチプチ®の日」の取り組みや、東海道新幹線から見える野立て看板、プチプチ®のリサイクルについてなどなど、弊社の色々な取り組みをイラストにしています。
また、「プッチンスカット®」は、無響室というしっかりした無音の施設でプチプチ®をつぶすという実験をしたことがあるんです。その結果、通常のプチプチ®の3倍の音の大きさを感じるという計測結果がでました。
プチプチ® への愛が深すぎますね!
「プッチンスカット®」早つぶし大会とか、やって欲しいですね。
内定式で幹部と内定者、どちらが早くプチプチ®をつぶせるか、という大会をしています。だいたい社員が勝つんですよ。大人気ない笑。
世界的にもこんなにプチプチ®に注力している会社はないですね。
おそらく弊社だけかと笑。
テレワークにぴったり!プチルーム
プチプチ®と同じ構造のプラスチックボード「プラパール®」で出来た、簡易個室「プチルーム」です。
かんたんに組み立てられて、コンパクトに片付けることもできます。また、すごく軽い商品なので、かんたんに持ち運びしやすいんですよ。
プチプチ®と同じ構造で個室!? ポテンシャルの高さが伺えます。
どのような経緯で作られたんでしょうか。
もともとは東日本大震災の災害支援で、更衣室や授乳室として使えるように開発されました。
最近ではコロナ禍の影響で、オンライン会議・オンライン商談などリモートワークのニーズに応えました。
また、個人の方が楽器演奏のために購入されるシーンが想定以上に一番多いんです。
防音性があるんですか?
防音とまでは行きませんが、何も無い空間で楽器を弾くより、外に漏れる音を減らすことができます。
それ以上に、お手頃な価格で扱いやすく一般的なお部屋に組み立てできるところが「プチルーム」の選ばれるポイントです。
子どもの足音とかも聞こえなくなったりするんでしょうか。
足音は振動に近いので、ゴムマットなどが効果的です。ですが、子供の声であれば「吸音プラパール®」という商品がおすすめです。
こちらは、プラパール®の粒に小さな穴が開いていいて、そこで音を吸収する仕組みになっています。学校の音楽室にも小さな穴が開いていますよね、それとまったく同じ方法です。
工場の騒音現場やライブハウスの壁などに採用されています。
また、同時通訳ブースというのも展開しているんです。
同時通訳ブース!? また新しいのがでてきましたね。
依頼があって作られたんですか?
同時通訳ブースは「川上さん、こんな提案があるんだけど、作れるかな?」という、お客様の相談からスタートしました。
梱包材の会社なのに、受ける仕事の幅が広すぎますね!
弊社には“すべ受け”というコンセプトがあります。
すべ受け!?
お客様からのご要望は、「すべて受ける・まず受ける・受けてから考える」という意味です。
今までに「受け止めきれるかな」という依頼を受けたことはありますか?
「CMで使うから、ものすごく大きなプチプチ®を敷き詰められないか」というのがありましたね。1個のプチプチ®が、帽子くらいの大きさなんですよ。開発の社員が、手作業で作っていましたよ。
あとは、PS3・PS4用ソフト「ドラゴンクエストヒーローズ®」のPRに起用されたことがあります。スライムの絵が印刷されたプチプチ®を、駅の壁にバーっと貼りだし、道行く人につぶしてもらうという。
“すべ受け”の精神が過ぎますね!
まだまだある!プチプチ®・アイテム
社員のアイデアを活かす、依頼はすべて受ける“すべ受け”など、川上産業さんならではの発想で誕生したプチプチ®・アイテム。100種類以上にものぼるという商品のなかから、編集スタッフが気になったものを紹介します。
1.プチシャイン®フラワーケース
青山フラワーマーケットさんとのコラボ商品。
透明度が高く、水に強い「プチシャイン®」というプチプチ®の板でできたフラワーケースです。
店頭にそのまま陳列でき、そのまま持ち帰ることができる、優れものになります。
2.P.T.カードケース/名刺ケース
「つぶれにくいプチプチ®があっても面白いんじゃないか」という発想から生まれた「P.T.カードケース/P.T.名刺ケース」。
渡邉さん曰く、「名刺交換のときに『プチプチ®ですか?』と話題作りになる」そうです。同じ素材でスマホケースなども展開されています。
もしものときに大活躍!
プチプチ®は梱包材として使用するのが基本ですが、災害時にも活用することができます。
例えば、羽織って暖をとったり、床に敷いて座ったり、さらには布団代わりにも使うことができるんです。
避難所にプチプチ®を送っても『プチプチ®なんて何に使うんだ?』となりかねないので、プチプチ®の活用方法を帯にプリントしているんです。
ぜひ、皆さんにこういった活用方法があることを知っていただければと思います。
これらの商品は、川上産業さんのインターネットショップ「プチプチSHOP」でも販売されているので、ぜひチェックしてみは。
プチプチ®自動販売機とは?
最後は、プチプチ®自動販売機について聞いてみました。
川上産業さんは、プチプチ®を自動販売機で販売されていると伺いました。
はい!名古屋本社と高崎工場に設置しています。
一般のお客様にも手軽に買っていただきたい、社員がいないときでも自由に買っていただきたい、という思いで置くようになりました。
カラフルなボックスには名古屋らしい金のシャチホコが!左側のカプセルトイで、ロッカーの鍵の番号を手に入れて、扉を開ける仕組みです。
実際に買っていかれる方は多いんですか?
そうですね。週平均、5~10本は売れています。幅60cm、長さ42mのロールを、1本500円で販売しています。
予想以上に売れていますね。そして安い!
皆さん何に使っているんでしょうかね。
フリマアプリの梱包用や、お年寄りの手指の運動用など、いろんな用途があるみたいですね。
使い方はアイデア次第だと思うので、お近くにいらした際には、ぜひ購入してみてください。
プチプチ®の便利な使い方・時短術を紹介
川上産業株式会社で主婦をされている社員の方にアンケートをとっていただきました。
すぐに真似できそうなものばかりなので、ぜひお試しあれ!
1.敷物代わりに利用
子どもの食べこぼしなどで汚れても、タオルと違って拭いて再利用できるので、洗濯の時間を減らせる。
2.おもちゃ
子どもにつぶして遊ばせている間に家事をする。
お風呂でつぶして遊ばせる。(水中に空気の泡がたくさんでる様子が楽しいそうです)
3.レジャーシート代わりに使う。
お尻も痛くなく、断熱効果も!一石二鳥です。
まとめ
プチプチ®への愛が凄すぎる川上産業さんですが、
プチプチ®は商標登録しているというのもあり、ネームバリューがすごいんです。
それに対して、なかなか川上産業という会社名が追い付かなくて…笑
とのこと。超有名な商品ゆえのお悩みかもしれませんね。
これからもユニークなプチプチ®商品の開発に期待ですね!
以前、働いていらっしゃった社員さんの手作りだそうです。
※プチプチ®、はぁとぷち®、浮世絵ぷちぷち®、プッチンスカット®、プラパール®、プチシャイン®は、川上産業の登録商標です。
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