愛知県生まれの「コーミソース」。
約70年にわたり、県民に愛されているソースです。
「値段は高いが、いい味です」のキャチコピーを採用したCM(1960年代後半~2002年放送)に、見覚えがある東海出身の方も多いのではないでしょうか。
愛知県民の味「コーミ デラックスこいくちソース」(以下コーミソース)。実はおどろきの特徴が。
なんと「(消費者庁が指定する)アレルギー物質28品目不使用」、「塩分はうすくちしょうゆの1/2(日本食品標準分析表2015より)」!
味が濃いイメージがあるソースですが、実はからだにやさしい調味料なんですね。
今回は、そんな「コーミソース」の開発秘話や魅力を探るため、愛知県名古屋市にあるコーミ株式会社さんを訪ねてみました。
歴史あるソース、どんなお話しが飛び出すのか、ワックワク!
取材協力:コーミ株式会社
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創業70年!名古屋で愛されるコーミソースの歴史
失礼ながら、私が「コーミソース」を知ったのは名古屋に越してからなんです。
徳島、大阪、群馬、東京に住んでいたことがあるのですが、どの県でも出会うことがなかった…。
(笑)。
「コーミソース」は愛知県以外だと、取り扱い店舗が少ないんですよ。
そうなんですね!
「コーミソース」は、“地域密着型ソース”として愛知県を中心に販売しております。
なるほど!
コーミソース誕生のきっかけは屋台の串カツ
地域密着型のソースとして70年以上の歴史がある「コーミソース」。
その誕生秘話に迫ります!
「コーミソース」が誕生したきっかけは、創業者の川澄鋼一氏(かわすみ・こういち)が、屋台で食べた串カツのソースにあります。
その味に感動し、自分でソースを作り始めたそうです。
独自で開発したソースが、名古屋の味として受け継がれているんですね。
ちなみに、コーミ株式会社さんの「コーミ」って創業者さんのお名前…ではないんですね。
「コーミ」は「香る味」が由来なんですよ。
創業当時は、「香味ソース」としていたのですが、「こうみ」と読める人が少ないということで、現在の名前になりました。
70年経過した現在も名前をそのままに、地元で愛されているんですね。
コーミソースはリアカーで販売していた!?
戦後まもなく販売をスタートされた「コーミソース」。
当時の様子をお伺いしました。
「コーミソース」は、創業者の川澄鋼一氏が一人、リアカーを引いて売っていたんです。
リアカー!?
昔、「コーミソース」は量り売りだったんです。
リアカーにソースを入れたカメや瓶を積み、「ソースいらんかねー」と売り歩いていたと聞いています。
声が聞こえてくると、近所の人たちがワラワラと集まってきたそうですよ(笑)。
創業者自ら売り歩いていたんですね。それが今では、工場で生産されている。
すごく歴史を感じます。
コーミソースが70年以上、売れ続けている理由
「コーミソース」が調味料として誕生して70年以上。
すっかり名古屋の味として浸透している「コーミソース」ですが、そこに至るには何か秘訣があるはず!
ということで、村尾さんに聞いてみました。
「庶民の味覚」が人気の決め手
「需要」が大きくなったというのが大きな理由ですね。
世の中いろんな商品が生まれても、残るのはお客様に好まれたものだけです。創業して70年。「コーミソース」が現在も残り続けているのは、やはりお客様からの需要があるからだと思います。だから私たちは、お客様に愛され続ける味を求めて日々試行錯誤を重ねているんです。
“おいしさ”を追求するためには、日々の積み重ねが大切なんですね。
私は味覚があまり敏感じゃないのですが、開発する人は、きっと味覚が洗練されている方なんでしょうね。
そう思われがちですが実は違うんですよ。
ソースの開発も、わださんと同じ味覚をもっている人でないとできません。
私たちが目指している商品は品評会で賞をもらうような商品ではなく、たくさんの方においしいと思ってもらえる商品ですからね。
なるほど!お客様においしいと思ってもらえる商品を作るには、お客様の立場になることが一番ですもんね。
例えば9人のお客様と1人のマイスターに味見をしてもらうとします。
マイスターが絶賛しても、お客様がおいしいと感じてもらえなければ、それは私たちが目指している味ではありません。
はい。
私たちは、たくさんの方に愛される商品を作るために、お客様の味覚を信じますね。
究極の民主主義ですね!
お客様のことを第一に考えているからこそ、長年多くの人に愛されているのだと思います!
コーミソースは“からだにやさしい”調味料
「コーミソース」は意外と塩分控えめで、しかもアレルギー物質28品目が何一つ入っていないとのこと!村尾さんが「コーミソース」の隠された魅力についてお話ししてくれました。
アレルギー28品目が一つも入っていない!
ソースは、塩分が濃いような印象があるかもしれませんが、弊社の「コーミソース」は、“からだにやさしい”のが特徴なんです。
“からだにやさしい”というのは?
「コーミソース」には(消費者庁が指定する)アレルギー物質28品目が一つも含まれていないんです。
アレルギーのことも考慮されているんですね。すごい!
ありがとうございます(笑)。
でも実をいうと、アレルギー28品目が使われていないのは偶然なんです。(当時指定されていた品目は25品目)
たまたま、10年前に私が発見しました(笑)
すごい偶然ですね!(笑)
弊社は、食育のイベントを開催しているのですが、その時に「子どものアレルギー問題」というのを知りました。
そこで、「コーミソース」の成分を確認したところ、アレルギー物質が何も入っていないことに気が付いたんです。
なるほど。「コーミソース」は、食品アレルギーをもっている方でも安心して使えるソースだったんですね。しかも、昔から!
そういうことです。
今では、アレルギー物質28品目が使われていないソースとして、給食センターさんなどに「コーミソース」をはじめ、様々なソースを提案させていただいています。
給食を作られている業者さんは、アレルギーにとても気をつけていらっしゃるので、少しでも弊社の商品が力になれたらと思っています。
お子さんだけでなく、大人の方でもアレルギーをもっている方は多くいます。
この情報を、もっとたくさんの人に知って欲しいですね。
味は濃いけど塩分はしょうゆの1/2
もう一つのポイントは、塩分が控えめだということです。
濃い口なのに塩分控えめ?
「コーミソース」の栄養成分を見てください。
【コーミこいくちソースの栄養成分】(100g当たり)
エネルギー | 142kcal |
---|---|
たんぱく質 | 0.8g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 33.2g |
食塩相当量 | 7.0g |
ナトリウム | 2760mg |
食塩相当量が100gあたり7.0gとなっていますよね。
しょうゆを例に出して説明すると、「減塩しょうゆ」と表示できるのは「しょうゆ100g中、食塩量 9g以下(ナトリウムとして3,550mg以下)」と定められているんです。
つまり「コーミソース」は、減塩しょうゆと同じ塩度で作られているので、しょうゆと同じ量を使った場合は減塩になる、ということになります。
参考:特別用途食品と栄養表示基準における低ナトリウム表示等の取扱い (厚生労働省)
なるほど!
でも、減塩っぽさはまったく感じない。何かヒミツがあるんですか?
「コーミソース」だけで、酸味と甘味、塩味のバランスがとれているからです。
例えば、塩だけで味付けすると、どうしても塩分が濃くなります。しかし酸味や甘味などの要素があれば、それぞれの味を構成する要素を控えることができるんです。
「コーミソース」には、味を構成する要素がたくさん含まれているので、塩分が少なくても満足できる味になっているんですよ。
味のバランスが絶妙、ということでしょうか。
何にかけてもおいしいのは、そういった理由もあるんですね。
原点回帰!25年ぶりのリニューアルをフカボリ
「コーミソース」は何度か改良をされているとのことでしたが、大幅なリニューアルをされたことはありますか?
2017年に「原点回帰」をテーマにした大幅なリニューアルをしました。大幅なリニューアルは25年ぶりです。今までの「コーミソース」と比較して、はっきりと味の違いがわかるくらい思い切った改良をしたんですよ。
参考:「名古屋の定番!!甘うまく、とろりとした濃い味。「こいくちソース」がリニューアル。」
思い切ったリニューアルをされたんですね。
材料を変えたんでしょうか。
材料はもちろん、配合もすべて変えました。しかし、リニューアル後に「これはコーミソースじゃない!」とならないように、味のベースは守っています。
ベースを変えてしまうと、改良を重ねるごとに「コーミソース」ではなくなってしまいますもんね。
ちなみに、リニューアルのきっかけは?
リニューアルをしたきっかけは、「昔はもっと旨味がしっかりしていた」、「もっと甘かった」などのご意見をよくいただくようになってきたからなんです。
当時の「コーミソース」の味をもう一度、ということですね。
でも、その時の味を知っている方がいないと難しそう…。
リニューアルにあたって、創業初期から勤務していたOBの力を借りました。
また、モニターの方にもご協力いただきましたね。
1年で50回以上!?こだわり抜いたゆえの試作回数
リニューアルには、どのくらい期間がかかりましたか?
試作だけで50回以上、約1年かけて取り組みました。
味の構想を決める期間を含めると、1年以上かかっていますね。
週に1回、モニターさんに試作品を味見してもらいながら、新しい「コーミソース」を完成させていきました。
試作を50回も!
ソースって、意外と早く作れるものなんですね。しょうゆなどのように熟成させなくてもいいんでしょうか。
ソースは熟成させないんですよ。作ったらすぐに召し上がることができます。
そうなんですね。
(笑)。
しょうゆとか味噌は発酵させないといけませんが、ソースはブレンドで味を調えるのが基本です。トマトケチャップも同じで、作ったらすぐに召し上がれますよ。
知らなかった~!
お値段はそのままで、よりおいしいソースに
25年ぶりにリニューアルされた「コーミソース」。
味は変わりましたが、変わらないこともあるそうで…。
味とともに、商品開発の際には「コスト」も大切にしています。
コストを考慮せず商品開発をすれば、たしかにおいしいソースは作れます。
でも出来上がった商品がお求めやすい価格でなかったら、お客様も買ってくれないですよね?
たしかに…。
「値段は変わらないけど、前よりもおいしくなった」というのがやはり付加価値であって、私たちが目指すところだと思っています。決められた価格帯の中で、よりおいしくなる原料と配合量を見つけ出すことが大切なんです。とは言ってもこれがかなり難しいんですがね(笑)。
企業努力のたまものですね!
味だけでなく、「お客様の求めやすい価格」にもこだわった商品開発、尊敬します。
2018年には注ぎ口もリニューアル
参考:「160ml・300ml・500mlサイズのキャップがリニューアル。」
「コーミソース」はおいしさの追求だけでなく、“使いやすさ”にもこだわっているとのこと。
2018年に注ぎ口を細くしたデザインにリニューアルして、ソースの量の調整がしやすくなりました!
調味料あるあるの「あ、ちょっとかけすぎちゃった…」などの心配もありません!お子様からお年寄りの方まで、幅広い年齢層の方が気持ちよくソースを使うことができますよ。
開栓後、ソースの保存はどうするべき?
「ソースの保存は常温?それとも冷蔵?」
こんな疑問を抱えている人はきっと私だけではないはず!(多分!)
長年のモヤモヤを解決するために、ソースの保存方法についてお伺いしてみました。
最後に、個人的に気になっていたことを質問していいですか?
「コーミソース」をはじめとするソース類は、開栓後、どこに保存するのが正しいんでしょうか。
基本常温で大丈夫なのですが、高温となる夏場などは冷蔵庫での保存を推奨しています。
理由としては、冷蔵庫が一番温度変化の少ない場所だからです。
ソースは急激な温度変化にさらされると、分離したり色が変わってしまったりして、風味が落ちてしまいます。夏場は常温保存だと、温度管理が難しいので、冷蔵庫へ入れておいてください。
大至急、冷蔵庫に移動させておきます!
ソースだけじゃない!そのほか便利な調味料も多数販売
コーミ株式会社と聞くと、「コーミソース」のイメージが強いかと思いますが、実はトマトケチャップやパスタソースなど、様々な調味料も販売されています。
ここでは、その一部をご紹介!
・愛知県産トマト100%使用トマトケチャップ
愛知県産の完熟トマトを100%使用した地元愛溢れるトマトケチャップです。
砂糖のみで甘さをつけているので、トマト本来のおいしさが味わえます。
・焼そばソース
豚肉、香味野菜、香辛料、様々な旨味と香りが凝縮された焼そばソースです。
仕上げにぐるりと回しかけた瞬間、ジュワっと華やかな香りが広がります!屋台の焼きそばをご家庭で手軽に堪能できる商品です。
・オイスターソース
こちらは広島県産の牡蛎を贅沢に使用したオイスターソース。
着色料、化学調味料は使用しておらず、牡蛎本来の旨味と香りを楽しめます。中華料理はもちろん、和食、洋食の隠し味としても活躍してくれること間違いなしです!
・名古屋めし あんかけパスタソース
名古屋名物である「あんかけパスタ」を手軽に家庭で再現したいなら、こちらの商品がおすすめ。深みのある黒胡椒の香りを引き出すために、なんと2通りの方法で黒胡椒を挽いているとか!野菜の旨味の中に活きる黒胡椒のアクセントがやみつきになります。
・台湾料理「味仙」監修の商品も!
名古屋の台湾料理「味仙」とのコラボ商品。
味仙定番の「台湾ラーメン」「青菜炒め」「台湾チャーハン」を手軽にご家庭で味わうことができます。普段の食事だけでなく、お土産にもピッタリ♪
・イタリアンエッセンス
「レストランの味を簡便(かんべん)に、ご家庭で!」をコンセプトに開発された商品です。
イタリア料理人が監修したというだけあって、ニンニク、バジル、オレガノなどイタリアンには欠かせない材料が絶妙に配合されています。トマトソースをはじめ、様々なイタリア料理の味付けに大活躍♪
一度販売終了した商品ですが、ファンからの復活を願う声が多かったため、2020年の4月に再販売されるようになりました。
まとめ
創業以来、地元の方々から支持されている「コーミソース」。
実は、公式サイトでも
“中京地区の皆様の味覚を追求し生まれた、日本の中でも珍しい”地域密着型ソース”です。”
と謳われているんですよ。
地元の食文化を取り入れた「コーミソース」は、これからも名古屋の味として親しまれていくことでしょう。
アレルギー物質28品目不使用で、減塩もできる「コーミソース」を使った時短レシピはコチラから! 和食からパスタまで、意外なソースの活用法とは!?
「コーミソース」を使った絶品&簡単レシピはコチラ