引越しで住所が変わるとき、一番大事な作業ともいえるのは、住民票を移すことです。
引越しをしたのに住民票を移さないままでいると、さまざまなデメリットが出てきます。
また、住民票を移さず放置していると、罰金(過料)の対象となることもあるのです。
住民票を移さないだけで罰金になるの……??
と思われる方は多いかもしれませんね。
しかし現在、生活の拠点となる市区町村に住民登録をし、住民票を移しておくのは法律上の義務となっています。
そのため正当な理由がない限りは、引越しから14日以内に住民票の異動手続きを済ませなければいけません。
ここでは住民票を移さないことのデメリットについてわかりやすく解説します。
また、引越し時の住民票異動手続きの手順も紹介しますので参考にしてください。
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住民票を移さないと罰則対象!忘れていたら罰金(過料)はいくら?
法律では「正当な理由のない住民票の未異動に対する過料は最高5万円」(住民基本台帳法第52条)と決められています。
過料というのは、行政上の義務を違反したことに対して金銭を支払わせるというものです。
そのため、刑罰に当たる「罰金」ではなく「行政罰として過料が科される」というのが正しい言い方です。
具体的には転居から14日以内に住民票を移さないと、最高で5万円の過料が課されることがあります。
その場合、簡易裁判所から通知が来るのですぐに支払いましょう。
住民票を移さなくても義務違反とならない可能性はある
引越しにともない、住民票の異動手続きをすることは法律上の義務ではあるものの、実際には住民票を移さないというケースが見られます。
次のような場合には、住民票を移さなくても義務違反とならないこともあるようです。
例1:転勤による単身赴任
社会人の転勤や単身赴任では、住民票を移さないケースがあります。
赴任先の住まいが一時的なものであり、生活の拠点は元の家であるという場合には、住民票の異動はしなくても問題ない可能性があります。
ただし選挙や地域行事などは、元の家のある市区町村で参加することになります。
また赴任先での行政サービスを受けられない、というデメリットもあります。
また勤め先からの交通費・住居手当てには、赴任先での住民票が必要なケースもあります。
会社の規定などをご確認の上、よく考えて決めましょう。
例2:学生の一人暮らし
学生の一人暮らしで、住民票を移さないというケースもありますね。
1年以内には実家に戻る、頻繁に実家へ帰るなどという場合にも、一人暮らしの住まいは一時的なものとみなされるため、住民票を移さなくても問題ない場合があります。
郵便物や宅配の届け先はどこにでも登録可能ですので、便利なほうを届け先として登録しておけば大丈夫です。
ただし選挙や成人式の案内など、行政からの通知は住民票のある家に届きます。
成人式は居住していない市区町村でも参加できることが多いですが、選挙は住民票のある市区町村でしか参加することができません。
また運転免許の交付や更新は、住民票のある都道府県でおこなうことになります。
そのため、一人暮らしの住まいが一時的なものであっても、遠方へ下宿する場合には住民票を異動させておきたいですね。
例3:2拠点生活
2拠点生活とは、都市と地方にそれぞれ住まいを持つ生活方式のこと。
「デュアルライフ」などの呼び方で昨今増えている、新しいライフスタイルです。
そんな2拠点生活は、「二地域居住」として国土交通省でも推奨しています。
“都市住民が農山漁村などの地域にも同時に生活拠点を持つ「二地域居住」などの多様なライフスタイルの視点を持ち、地域への人の誘致・移動を図ることが必要となります。国土交通省では、「二地域居住」の推進を図るための情報発信等を行っております”
引用元:国土交通省ホームページ「二地域居住の推進」
魅力のある行政サービスのある市区町村においての「二地域居住」を選ぶ方は、今後増えていくことでしょう。
ただし「二地域居住」を始めて、平日は都心で生活し、週末には田舎で過ごすというような場合でも、住民登録は一人につき一か所でしかおこなえません。
そのため、別の市区町村でも生活を始めたけれど住民票は移さない、というケースが出てくることも考えられますね。
住民票を移さないことによるデメリット
住民票を移さなくても問題のない可能性があるケースこそいくつかあるものの、居住している市区町村に住民票がないと不便なことも多くあります。
以下では、住民票を移さないことのおもなデメリットをあげてみました。
- 勤め先で通勤手当や住宅手当が認められないことがある
- 子どもが公立の小中学校に通えない(事情によっては特例あり)
- 現住所での選挙権・被選挙権を行使できない
- 公的な郵便物が受け取れない
- 公的なサービスが有料・受けられない
- 現住所の住民票が発行できない
- 確定申告ができない
- 運転免許の交付・更新ができない
など
確定申告や免許の更新、選挙権の行使などは現住所とは別の住所において可能ですが、現住所が遠方の場合はわざわざ帰るのも面倒ですよね。
住民票を移さないとデメリットが多いため、特別な事情でもない限り、引越しするときには定められた期限内に住民票の異動手続きをおこないましょう。
市区町村の公共サービスは、住んでいる人の生活を向上させるためにおこなわれるものです。
引越ししたからにはすぐにその市区町村の住民となって、さまざまなサービスを受けられるようにしておきましょう。
住民票の異動手順を分かりやすく解説!
生活に関わる手続きには、住民票が必要になるシーンがたくさんあります。
そのため引越し時には、真っ先に住民票の異動手続きをおこなうのがおすすめです。
手続きは土日でも受け付けてもらえる市区町村が増えていますので、ホームページなどで確かめてみましょう。
それではさっそく手順を解説します。
同じ市区町村内で引越しの場合
同じ市区町村内で引越しをする場合は、手続きが簡単です。
引越してから14日以内に、一度役所へ手続きに行くだけで完了する場合が多いです。
一般的に手続きに必要な持ち物
- 本人確認証(運転免許証など)
- 印鑑
- マイナンバーカード(お持ちの方)
- 国民健康保険証(加入者のみ)
- 高齢者医療受給者証(対象の方)
- 乳幼児医療証(対象の方)
など
あとは役所にある「転居届」を書き、提出すれば完了です。
ただし、持ち物の詳細や窓口の受付時間などは市区町村によって異なることもあります。
手続きの際は、念のためホームページなどで確かめておきましょう。
別の市区町村へ引越しの場合
別の市区町村へ引越しをする場合には、新旧両方の市区町村の窓口で手続きすることになります。
1.転出届
基本的には旧居のある市区町村の窓口で手続きします。
転出届の用紙は基本的に窓口においてあり、14日前から手続きが可能です。
一般的に転出手続きに必要な持ち物
- 本人確認証(運転免許証など)
- 印鑑
- マイナンバーカード(お持ちの方)
- 国民健康保険証(加入者のみ)
- 高齢者医療受給者証(対象の方)
- 乳幼児医療証(対象の方)など
2.転入届
新居のある市区町村の窓口で手続きします。
転入届も基本的には窓口においてあり、提出の期限は転入から14日以内になります。
一般的に転入手続きに必要な持ち物
- 旧居からの転出証明書
- 本人確認書類(運転免許証など)
- マイナンバーカード(お持ちの方)
- 印鑑
など
持ち物の詳細や窓口の受付時間などは市区町村ごとに違うことがあります。
念のため転居前・転居後の市区町村ホームページをそれぞれ、一度確かめておくことをおすすめします。
また「児童手当をもらっている場合」や「ペットがいる場合」、「印鑑登録している場合」など、条件次第で必要な手続きは増えていきます。
こちらも合わせて、事前に確認しておきましょう。
引越したのに住民票を移さないと過料の対象になることがあり、説明してきたようにデメリットも多くあります。
引越し先での新生活をスムーズにスタートさせるため、まずは住民票の異動手続きを完了させておきましょう。