エコ洗剤として使われるクエン酸や重曹は性質がそれぞれ異なるため、汚れによって使い分けることが大切です。
間違った使いかたをしてしまうと本来の効果を発揮できず、汚れを落とすことができないんです。
また汚れは、中和作用などの化学反応をうまく利用して落とすこともできます。
掃除を効率よくおこなうためには中和作用のしくみについても知っておきましょう。
こちらのコラムでは、中和作用のしくみやクエン酸と重曹の使い分けかたなどについて解説します。
重曹とクエン酸の中和反応を使った洗浄方法についてもふれていますので、ご家庭の掃除にぜひお役立てください。
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中和作用のしくみを知って洗剤を使い分けよう
石けんや洗濯用洗剤には、油と水を乳化させる界面活性剤や汚れを分解するはたらきをする酵素などさまざまな成分が入っています。
では界面活性剤や酵素の入っていない重曹やクエン酸は、どんな効果で汚れが落ちるのでしょうか。
汚れが落ちるしくみは、中和作用が大きく関係しているんです。
ここでは、まず中和作用のしくみについてお話しますね。
汚れと洗剤はそれぞれ性質をもっている
洗剤には性質があり、酸性とアルカリ性そして中性の3種類に大きく分けられます。
クエン酸は酸性、そして重曹はその逆となるアルカリ性の性質をもっています。
また、油汚れや水垢などの汚れも同じようにそれぞれの性質があるんです。
中和作用によって汚れが落ちるのは、洗剤や汚れがもつ性質の特性を生かしたものなんです。
中和作用は性質の違いによって起きるもの
中和作用は、それぞれ逆の性質をもっている汚れと洗剤が混ざり合ったときに起こる反応です。
この化学反応によって汚れが中性に近づき、分解されることで落としやすくなるというしくみになっています。
これが同じ性質をもつ洗剤と汚れの場合は、中和作用がはたらかないため汚れ落としに効果がないというわけです。
では次に、クエン酸と重曹がそれぞれどんな場所の汚れに効果があるか、具体的な洗浄方法とあわせて見ていきましょう。
クエン酸が得意なのは「アルカリ性の汚れ」
酸性のクエン酸で落としやすいアルカリ汚れには、キッチンシンクの水垢やトイレの尿石による黄ばみ、電気ポットのカルキ汚れなどがあります。
クエン酸はスプレー式になった水溶液タイプや粉末タイプがあります。
スプレータイプは、購入後にすぐ使えるという点が便利です。
汚れにシュッと吹きかけて、拭き取ったりスポンジでこすり洗いしたりすればアルカリ性の汚れが簡単に落としやすくなりますよ。
粉末タイプは、汚れに直接振りかけてこすり洗いする方法もありますが、水に溶かすだけで簡単に水溶液を作ることも可能です。
また1kgなど大容量のパックで市販されているものもあるので、掃除したい場所が多いときや継続的に使いたい場合はコスト的にも粉末タイプがおすすめです。
汚れ落としに便利なクエン酸スプレーを使ってみよう
粉末タイプのクエン酸はスプレーボトルに詰め替えると、市販されているスプレータイプのように便利に使えます。
クエン酸スプレーの作りかた
準備するもの
- クエン酸
- 水
- スプレーボトル
作りかたは、スプレーボトルに水200mlに対してクエン酸を小さじ1杯入れて振り混ぜるだけなので簡単です。
汚れにクエン酸スプレーを吹きかけたあと、少し時間をおいて雑巾などで拭き取るのが基本的な使いかたになります。
クエン酸はアルカリ性のニオイを消臭する効果もあるので、トイレのニオイが気になるときの消臭剤としても使えますよ。
もし水垢汚れが何層にも重なってガンコな汚れになっている場合は、クエン酸パックを試してみてください。
クエン酸パックの方法
- 汚れの部分にキッチンペーパーをかぶせて、汚れとキッチンペーパーが密着するようにクエン酸スプレーを多めに吹きかけます。
- 乾くのを防ぐためにラップで覆い、1~2時間そのまま放置します。
- 時間をおいてクエン酸が汚れに浸透したらキッチンペーパーをはがしてスポンジなどでこすり洗いして汚れを落としましょう。
クエン酸を使うときの注意点
クエン酸を掃除に使うときは、注意しなくてはいけない点がいくつかあります。
酸性の性質をもつクエン酸は、塩素系漂白剤と混ざることで猛毒の塩素ガスが発生するため大変危険なんです。
場合によっては命を落としてしまうこともあるので、クエン酸と塩素系漂白剤を併用することは絶対に避けてください。
またクエン酸には、相性のよくない素材があることも知っておきましょう。
鉄やコンクリートなどにクエン酸を使うと酸化によって劣化を早めてしまうおそれがあり、大理石などの石材は、ツヤがなくなってしまう場合もあるんです。
とくにクエン酸パックで長時間放置する場合は、素材を傷めてしまうこともあるので様子を見ながらおこなうようにしましょう。
そしてクエン酸で手肌が荒れてしまわないように、ゴム手袋も忘れずにつけてくださいね。
重曹が効果的に使えるのは「酸性の汚れ」
アルカリ性の性質をもつ重曹が適している酸性汚れにはキッチンの油汚れや、手垢などの皮脂汚れがあります。
ここでは、重曹の効果的な使いかたと注意点について解説します。
重曹はこすり洗いに最適!
重曹は水に溶けにくく粒子が粗いため、クレンザーのような研磨作用があります。
重曹にも水溶液タイプや粉末タイプがありますが、こすり洗いしたい場合には、汚れに振りかけて使える粉末タイプがおすすめです。
汚れの場所や用途によって使い分けてみるといいでしょう。
また粉末タイプを水に溶かして重曹スプレーを作ることもできます。
重曹スプレーの作りかた
準備するもの
- 重曹
- お湯
- スプレーボトル
作りかたは簡単で、スプレーボトルにお湯200mlに対して重曹小さじ2杯を入れてよく振り混ぜるだけです。
重曹は水に溶けにくいので、水よりもお湯を使うとよく溶けやすくなりますよ。
ただし、重曹は65℃以上のお湯に溶かすと強アルカリ性に変わり、手肌が荒れやすくなるので注意しましょう。
また、よく混ぜなかった場合や濃度を濃くしすぎた場合、拭き残しが出やすくなってしまうこともあります。
拭き残しはクエン酸で仕上げ拭きするとキレイに仕上がります。
重曹を使うときの注意点
重曹は研磨作用があることから、傷つきやすい素材に使うことはおすすめできません。
また、アルミや銅などに使用すると黒ずんでしまい、畳や白木、大理石も変色してしまうおそれがあるので注意しましょう。
そして重曹を使うときも、手肌を守るためゴム手袋の着用を忘れないでくださいね。
重曹でカビを根こそぎ除去するのはむずかしい
重曹を使えば酸性の汚れがすべて落とせるというわけではありません。
なぜなら重曹は中性に近い弱アルカリ性のため、強力な洗浄効果をもっていないんです。
カビは酸性汚れなので、軽いものであれば重曹でも落とせる場合もあります。
しかし深く根を張ったカビまでは除去できないため、表面が一時的にキレイになったように見えても、また繁殖しやすくなるんです。
ガンコなカビ汚れには塩素系漂白剤が効果的
根を張ったガンコなカビの除去には、塩素系漂白剤がおすすめです。
ただし、塩素系漂白剤は強いアルカリ性のため、手肌や目を保護するゴム手袋やゴーグルなどの着用しましょう。
そして、クエン酸とは絶対に併用しないように気をつけてくださいね。
クエン酸は重曹と混ざっても大丈夫なの?
クエン酸と重曹は落とせる汚れの性質が異なるため、同じ場所で使いたい場合に混ざっても問題ないか不安になる方もいるでしょう。
クエン酸と塩素系漂白剤は混ぜると危険ですが、クエン酸と重曹は混ぜても問題ありません。
クエン酸と重曹を混ぜて水を加えると、中和反応によって炭酸ガスが発泡します。
発生するガスは二酸化炭素で、人体に害はないので安心してください。
発生する泡は、互いの性質を打ち消しあうため泡自体に洗浄効果はありませんが、汚れを浮かせて落としやすくなります。
重曹とクエン酸を1:2の割合で混ぜたものを、シンクの排水口周りに振りかけぬるま湯をかけます。
重曹とクエン酸の中和反応によって発泡したら5~10分ほど放置して洗い流せば、ヌメリなどが落としやすくなるので便利ですよ。
汚れの種類がアルカリ性か酸性か見極められるときは、適した洗剤を単独で使ったほうが高い洗浄効果を得られるということも覚えておいてくださいね。
クエン酸や重曹を上手に使いこなして、家中の汚れを落としてみましょう。
まとめ
重曹とクエン酸は、中和作用の反応を利用してさまざまな汚れを落とすことができます。
ただし、素材によっては使えないものや注意点があることも忘れないでくださいね。
またクエン酸と重曹は混ぜることで炭酸ガスを発生させ、汚れを浮かせる効果もあります。
汚れの性質によってクエン酸と重曹を使い分けながら、効率よく掃除をしましょう。
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