ステイホームの時間が増えて、おうちにお花を飾り始めた方も多いのではないでしょうか。
元気に咲いているお花は目も心も楽しませてくれますが、およそ1〜2週間ほどで見頃は終わってしまいます。
しおれかけのお花を捨ててしまうのはかわいそう、もう少し楽しみたいと感じたことはありませんか?
そんな方におすすめなのが、おうちでできるドライフラワー作り。
特別な材料や環境は必要ありません。少しのコツさえ覚えれば、どなたでもきれいなドライフラワーの花束が作れます。
今回は、元フローリストの筆者が、ご家庭でもかんたんに作れるドライフラワーについてご紹介します。

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たった3STEPでできる!失敗しないドライフラワーの仕込み方
まず、すべての花材に共通して準備するものはこちら。

ハサミ(花鋏を1本持っておくのがおすすめ)、麻紐、そしてドライフラワーにしたいお花だけ。
ドライフラワーにしやすいお花と、向いていないお花については、記事の最後にまとめておりますのでそちらをご参照くださいね。
ドライフラワーの作り方として、有名な方法としてはシリカゲルが入った保存容器にお花を入れておくというものがあります。
短期間できれいな発色のドライフラワーが完成するという利点がありますが、シリカゲルを都度購入するという手間もあります。
そこで今回ご紹介するのは、自然の乾燥に任せてお花を乾かす、ナチュラル・ドライのドライフラワー。
逆さまに吊るして放っておくだけで完成しますが、手間がかからない代わりに失敗が多いやり方でもあります。
これから失敗する原因と、解決のためのポイントをおさえながら、吊るすまでの手順を説明しますね。
STEP① 花弁を開く(バラの場合)

バラやスプレーバラのドライフラワーを作る際は、ハサミと麻紐の他に、小さいハサミをご用意ください。手芸用やメイク用のもので構いません。
ドライフラワーでよくあるのが、カビてしまうというトラブル。
特にバラの花は、表面が乾いているように見えても、細かい花びらが密集している内側は水分が抜けていない状態になりやすいです。
そのまま放っておくと、内側からカビが生え始めてしまうため、まずは花弁を開いてあげましょう。

これは購入して1週間程度経ったバラ。大きく開いているように見えますが、まだ内側の花びらは閉じている状態です。
このまま吊るして乾かすと、水分をたっぷり含んだおしべとめしべが乾き切れません。

そこで、小さなハサミを花弁の中央に挿し入れて、ゆっくりとハサミを開きます。

すると花弁がほどけて、中のおしべとめしべが見える状態に。
こうすれば中までしっかり空気に触れるようになり、全体をまんべんなく乾燥させられます。
バラのつぼみなども、ハサミを差し込んで優しく開いてあげましょう。
STEP② 余分な葉を取り除く
葉は乾かすと脆くなり、あとで束ねる際に扱いづらくなってしまいます。大輪の花がついている場合は、花に近い1〜2枚を残して葉を切り取り、茎も30cm程度まで切り詰めるのがおすすめです。後にドライブーケにしたい場合は、葉ものや小花は長めにとっておくと重宝します。
バラのトゲは乾くと鋭利で固くなるので、ハサミで丁寧に切り取っておきましょう。
STEP③ 麻紐を結んで吊るす
麻紐を適当な長さに切り、茎に巻いて1度だけ結びます。麻紐を使う理由は固結びにしなくてもしっかり茎をホールドしてくれるからです。

水分を失った茎は細くなっていくため、数日に一度、紐を引っ張って結び目を締めましょう。固結びだとこの作業ができず、ゆるくなった紐から茎が抜けて落ちてしまいます。

あとは直射日光が当たらず、水場から遠いところに吊り下げておくだけ。
ここでの注意点としては、大輪の花がついたバラやカーネーションなどは、必ず1本ずつで吊り下げましょう。
ドライフラワーは、干している時の形状そのままで乾きます。束で吊るすと水分が抜けるのが遅くなり、カビの原因になるだけでなく、花同士が潰しあってしまい平たい形で完成してしまいます。
壁掛けで吊るす際も、壁に当たっている面が平たくならないように、吊るすフックの長さを変えるなどして調整してください。
天候や湿度によりますが、ドライフラワーはおよそ1週間から1ヶ月程度で完成します。
乾くとお花は縮むので、これ以上小さくならないな、というところまで干したら、中まで乾き切ったかの確認をしましょう。
優しく花を押してみて、内側の感触が柔らかい場合はもう数日吊るして様子をみてください。少々経験が必要な判断ではありますが、押してみて「へにゃ」っと潰れたらまだ中が生乾き、「ふわ」っと弾力があれば乾いている、という目安になります。
ちなみに……

お花をお世話していると、ある日突然しおれていた…なんてこともありますよね。何度水揚げしても立ち直れないほど弱ってしまったお花でも、ドライフラワーにできることがあります。
ドライフラワーにできるかどうかの目安として、茎部分を持って優しく振ってみてください。花びらが散ってしまう場合は、乾かしている最中に花が取れてしまう可能性が高いです。
花びらが落ちないようであれば、上記の3STEPの通りに吊るしてみてください。

誰でもかんたんに作れる、ドライスワッグの作り方

さて、ドライフラワーが完成しました。
左から、バラ、スプレーバラ、カーネーション、スイートピー、ハイブリッドスターチス、ユーカリです。
このまま花瓶に飾ってもいいのですが、ドライフラワーは湿気を吸った部分が柔らかくなってしまう性質があります。花の重さで茎が曲がり、下を向いてしまうので、その都度逆さまに吊るして干し直さなければなりません。
そこで今回は、逆さまに吊るして楽しむ花束「スワッグ」の作り方をご紹介します。
作り方はとてもかんたん。まず、短い花材、中くらいの長さの花材、長い花材、そして葉っぱに選別します。

長さがだいたい同じ場合は、花や実が大きくなるほど短くなるように切り詰めると楽に作れます。

上の写真のように、葉っぱ、長い花材(ハイブリッドスターチス)、中くらいの花材(スプレーバラとスイートピー)、短い花材(バラとカーネーション)の順に重ねます。画像右側のような端材は、短い花材の横に添えるように重ねると、左右のボリュームが出てバランスがよくなります。

そのまま根元をつかみ、麻紐で4〜5回巻いてから固結びにします。

たったこれだけ!細かいお花や葉っぱは長く、大きいお花ほど短くを意識して切り、重ねて束ねるだけで、ドライフラワーのスワッグが完成しました。
このまま吊るして飾ってあげてもかわいいですが、お花の保護を兼ねて一手間加えてみましょう。

これは、お花を購入した際に巻かれていたクラフトペーパーです。

長方形に切り出したペーパーを、こんな感じで折ったら……

花束を包んで、持ち手をぎゅっと絞るだけ。ラッピングされると、いっそう本格的に見えます。

ホームセンター等で売っている麻布を切って巻いてもおしゃれ。お好みのペーパーやリボンを探して、ラッピングまで楽しんでみてくださいね。
ドライフラワーに向いているお花はどれ?
お花それぞれの特性によって、ドライフラワーにすると花びらが散ってしまうものや、茶色くなってしまうものもあります。
お花屋さんでよく目にするお花で、ドライフラワーにしやすいお花と、難しいお花を一覧にしてみました。
はじめてドライフラワー作りを試される際に、ご参考になれば幸いです。
- バラ(スプレーバラ)
- カーネーション
- スターチス、ハイブリッドスターチス
- スイートピー
- 紫陽花
- ケイトウ
- かすみ草
- ユーカリ
- ほとんどのネイティブフラワー(南半球が原産地の植物の総称) など
- 菊、アスター
- ユリ
- ラン類
- アンスリウム
- ガーベラ など
ドライフラワーになりやすい花材の中でも、色がはっきりしているもの(赤、濃いピンク、オレンジ、黄色)や、染めてあるものは、ドライになっても色がしっかりと残りやすい傾向にあります。
反対に、白や淡い色のお花はベージュっぽい色になりやすいので、仕上がりのイメージによって使い分けましょう。

また、ドライフラワーにするのが難しい花材についても、環境やお花のコンディションによってはきれいなドライフラワーに仕上げられる場合があります。
諦めて捨ててしまわずに、まずは一度試してみてくださいね。
きれいなお花を長く楽しもう ドライフラワーのある暮らし
今回ご紹介したドライスワッグ以外にも、リースの土台を買ってドライリースを作ったり、オリジナルのアレンジメントに挑戦したりすることもできます。
花束にしたり、飾ったりが難しいという方には、完成したドライフラワーを短く切ってポプリ代わりにするのもおすすめ。

小さな器に飾って、お好みのアロマオイルを数的垂らすのが一番かんたんな方法です。
より香りを持続させたい方は、ビニール袋や蓋付きの容器にドライフラワーを入れ、アロマオイルを混ぜて全体を馴染ませます。

一週間ほど冷暗所で寝かせたら、お部屋の中の香らせたいポイントに置いておくだけ。
蓋付きのガラス容器を使うと、寝かせる工程もお部屋を彩るインテリアのようになります。
贈り物でいただいた花束や、ご自身で選んだお気に入りのお花。
ドライフラワーにして、長く楽しんでみてはいかがでしょうか。

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